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分かりやすいワークフロー図の書き方。パワポから卒業するコツ

分かりやすいワークフロー図の書き方。パワポから卒業するコツ

PowerPointExcelを使ってワークフロー図を作成する際、「時間がかかる」「修正が大変」「結局、誰にも伝わらない」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。このような課題は、多くの現場で共通して見られます。この記事では、誰が見ても直感的に理解でき、業務改善に直結するワークフロー図を作成するための具体的な方法を解説します。単なる書き方だけでなく、作成を効率化する専用ツールの活用法や、作成した図を業務改善に繋げるための実践的なアプローチまで網羅しています。この記事を読み終える頃には、あなたのワークフロー図作成に対する認識が変わり、より効果的な業務可視化と改善を実現できるようになるでしょう。


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なぜ今、ワークフロー図が「分かりにくい」と問題になるのか?

現代において、業務プロセスを可視化することの重要性は高まるばかりです。しかし、実際に作成された多くのワークフロー図が、「分かりにくい」「結局、何に役立つのか分からない」と評価されてしまう現状があります。これは、業務がますます複雑化し、関わる人数が増える一方で、個々人が作成する図では業務の実態を正確に反映しきれなくなっているためと考えられます。

特に、業務の属人化が進んでいる組織では、特定の担当者しか業務プロセスを把握しておらず、その人が作成したワークフロー図は、他の人には理解しにくいものになりがちです。また、テレワークの普及により、口頭での確認や非公式な情報共有の機会が減り、明文化されたワークフロー図の必要性が高まっています。しかし、その分、図自体の精度や分かりやすさが、これまで以上に問われるようになりました。

さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の動きが加速する中で、既存業務の棚卸しと再構築は避けて通れません。この際、現状の業務を正確に把握するためのワークフロー図が「分かりにくい」と、変革の足かせとなってしまいます。不正確な図や属人化された図では、真の課題を見つけ出し、効果的な改善策を導き出すことが困難になるため、多くの企業でワークフロー図の「分かりにくさ」が問題視されているのです。

そもそもワークフロー図とは?業務フロー図との違い

ワークフロー図とは、特定のタスクや作業の具体的な手順を、時系列に沿って図式化したものです。誰が、どのような順番で、どのようなタスクを行うのかを明確に示し、業務の流れを視覚的に理解できるようにします。例えば、「顧客からの問い合わせ対応」という業務において、問い合わせ受付から最終的な解決までの、各担当者のアクションや判断、使用するツールなどを細かく表現する際に使用します。

しばしば混同されがちなものに「業務フロー図」があります。業務フロー図は、組織全体の大きな業務プロセス全体(例:受注から納品までの一連の流れ)を示すもので、より広範でマクロな視点から業務を捉えます。一方で、ワークフロー図は、その業務フロー図の一部を構成する、より詳細な個々のタスクの流れに焦点を当てます。例えば、業務フロー図が「受注業務全体」を示すのに対し、ワークフロー図は「受注伝票の承認プロセス」や「商品出荷の手順」といった、より具体的な業務単位を詳細に描写する際に活用されます。この記事では、後者の「より詳細な個々のタスクの流れ」を示すワークフロー図について解説を進めていきます。

ワークフロー図を作成する3つのメリット

ワークフロー図を作成することには、業務の効率化や品質向上に直結する多くのメリットがあります。ここでは、特に重要な3つのメリットについて解説します。

1つ目のメリットは「業務の可視化と標準化」です。ワークフロー図を作成することで、「誰が」「いつ」「何を」「どのように」行うのかが明確になります。例えば、新入社員が入社した際に、口頭での説明に加えてワークフロー図を見せることで、業務の流れを迅速に理解してもらえるようになります。これにより、業務の属人化が解消され、特定の担当者が不在でも業務が滞るリスクを低減し、安定した業務遂行が可能になります。

2つ目のメリットは「問題点の発見と業務改善」です。業務プロセスを図として俯瞰することで、無駄な作業、重複している工程、承認に時間がかかるボトルネックなどを客観的に発見しやすくなります。例えば、ある申請業務で複数の部署が同じ情報を何度も確認していることがワークフロー図から明らかになれば、「この確認プロセスは統合できないか?」「そもそも、この工程は本当に必要なのか?」といった改善の議論を具体的な根拠に基づいて進めることができます。これにより、プロセスの非効率性を解消し、業務全体の最適化を図ることが可能になります。

3つ目のメリットは「関係者間の認識共有」です。ワークフロー図は、新人教育の教材としてだけでなく、部署間の連携を円滑にするための共通言語としても機能します。例えば、ある業務で他部署と連携が必要な場合、ワークフロー図を用いて共通認識を形成することで、「この情報はこのタイミングで渡してほしい」「こちらの作業が完了しないと、そちらの工程に進めない」といった相互理解を深めることができます。結果として、コミュニケーションミスによる手戻りや遅延を削減し、プロジェクト全体の進行をスムーズにすることができます。

パワポでのワークフロー図作成で陥りがちな課題

多くの企業で業務プロセスの可視化は進められていますが、その中でPowerPointExcelを使ってワークフロー図を作成している方も多いのではないでしょうか。手軽に使える反面、これらの汎用ツールでワークフロー図を作成する際には、特有の非効率性や問題点が生じがちです。ここでは、多くの人が経験するPowerPointExcelでのワークフロー図作成における共通の課題を浮き彫りにし、日々感じているであろう「あるある」な状況とその問題点について解説します。

課題1:作成・修正に時間がかかりすぎる

PowerPointなどでワークフロー図を作成する際、最も多くの時間を奪われるのが、図形の配置や整列、矢印の接続といった細かい手作業です。図形を一つずつドラッグして配置し、正確に線でつなぎ、きれいに整列させる作業は、想像以上に手間がかかります。特に、業務プロセスは常に変化するため、一度作成した図も頻繁に修正が必要です。

しかし、PowerPointでは、プロセスを一つ追加したり削除したりするだけで、その後のすべての図形や矢印の位置を調整し直さなければなりません。この「芋づる式」の修正作業は非常に煩雑で、少しの変更が全体のレイアウト崩れにつながり、その修正に多くの時間を費やしてしまいがちです。本来、ワークフロー図作成の目的は業務改善にあるにもかかわらず、作図そのものに時間を取られすぎて、本来の業務改善の時間を奪ってしまうという本末転倒な状況に陥ることも少なくありません。

課題2:図の表記ルールがバラバラで属人化する

PowerPointExcelでワークフロー図を作成する際に発生しやすいもう一つの問題は、作図者によって図のスタイルや表記ルールが統一されないことです。特定の記号を使用するルールが定まっていないため、ある人は丸い図形を使い、別の人は四角い図形を使うといったように、使用する図形の種類や色、線の種類、書き方の癖などが個人に依存してしまいます。

その結果、「誰が見ても同じ意味に解釈できる」というワークフロー図の本来の目的が損なわれてしまいます。図を読んだ人によって解釈が異なれば、誤解が生じたり、正しく業務が引き継がれなかったりするリスクが高まります。また、作成者本人しか図の意図を把握できず、他の人が修正しようにも手が出せないため、図が属人化・陳腐化してしまうことにもつながります。これでは、業務の標準化や効率化を目指すワークフロー図が、かえって業務を停滞させる要因になりかねません。

課題3:バージョン管理が難しく、最新版が分からない

PowerPointExcelで作成されたワークフロー図の多くは、ファイルとしてPCや共有フォルダに保存されます。このファイルベースでの管理は、バージョン管理において深刻な問題を引き起こしがちです。例えば、「〇〇修正版_221025.pptx」や「△△さん指摘反映_final.pptx」といった類似したファイル名が乱立し、どれが最新の正しいファイルなのかが分からなくなる状況は珍しくありません。

共有フォルダ内でコピーが繰り返されたり、メールで添付ファイルが飛び交ったりすることで、古い情報をもとに話が進んでしまうといったリスクも高まります。さらに、誰がいつ、なぜその変更を加えたのかという変更履歴が追跡できないため、問題が発生した際に原因究明が困難になります。結果として、古いワークフロー図に基づいた業務が行われ、現場での混乱や手戻りが発生するなど、業務効率を低下させる要因となってしまうのです。

分かりやすいワークフロー図の書き方 5ステップ

ワークフロー図は、ただ闇雲に描き始めても、かえって複雑で分かりにくいものになってしまいがちです。ここでは、誰が見ても理解しやすく、業務改善に繋がるワークフロー図を作成するための基本的な5つのステップを解説します。専用のツールを使うか、PowerPointExcelで作成するかに関わらず、この普遍的な手順を踏むことで、初心者の方でも迷うことなく、効果的なワークフロー図を作成できるようになります。

ステップ1:目的と範囲を明確にする

ワークフロー図を作成する上で、最初に最も重要なステップが「目的と範囲を明確にすること」です。なぜこの図を作成するのか、その目的によって図に含めるべき情報の粒度や詳細度が大きく変わってきます。例えば、新人教育のための図であれば、一つひとつのタスクを具体的に、かつ平易な言葉で記述する必要があるでしょう。一方、システム開発の要件定義のための図であれば、システムと手作業の境界、データの流れや連携に焦点を当てる必要があります。

同時に、図の対象となる「誰の」「どの業務」の範囲を明確に区切ることも重要です。例えば、「受注業務全体」を描くのか、「受注伝票の承認プロセス」に限定するのかによって、図の規模や複雑さが全く異なります。目的と範囲が曖昧なまま作業を進めてしまうと、途中で「どこまで描けばいいのか分からない」と手戻りが発生したり、最終的に「結局何が言いたいのか分からない、使えない図」になってしまうリスクがあります。この最初のステップでしっかりと土台を固めることが、成功への鍵となります。

ステップ2:関係者と業務タスクをすべて洗い出す

目的と範囲が明確になったら、次に対象となる業務に関わるすべての「関係者」と、そこで行われているすべての「タスク(作業)」を洗い出します。この段階では、まだ図の体裁や順序は一切気にせず、とにかく抜け漏れなく情報を出し切ることに集中しましょう。部署や担当者の名前、担当者が行っている業務の内容を、箇条書きや付箋などに思いつくまま書き出していく「ブレインストーミング」の手法が効果的です。

例えば、「顧客からの問い合わせを受ける」「問い合わせ内容をシステムに入力する」「上司が内容を確認する」「承認する/却下する」「顧客に回答を送信する」といった具体的なアクションを、細かく書き出していきます。このプロセスは、実際の業務を行っている現場の担当者へのヒアリングを通じて行うのが最も確実です。彼らしか知らない「暗黙知」や「例外処理」などもこの段階で引き出すことができ、より実態に即した図の作成につながります。

ステップ3:タスクを時系列に整理する

洗い出したタスクのリストができたら、いよいよそれらを時系列に並べ替えていきます。業務の「開始」から「終了」までの流れを意識し、どのタスクがどの順番で実行されるのかを整理する作業です。このとき、単に順番に並べるだけでなく、業務の流れの中で発生する「分岐」(例:「承認されたら次のステップへ、却下されたら差し戻し」)や、複数のタスクが同時に進行する「並行作業」なども明確にしていきます。

たとえば、「Aさんが申請書を作成」Bさんが承認」(ここで「承認」か「却下」かによって分岐)「承認されたらCさんがシステム登録」といった具体的な流れを構築していきます。このステップで整理したタスクの時系列リストが、次の作図ステップにおいてワークフロー図の「骨子」となります。ロジカルな流れがこの段階で整理できていれば、後の作図作業がスムーズに進みます。

ステップ4:基本記号を使って図に落とし込む

時系列に整理されたタスクリストを、いよいよ図形に変換していきます。ワークフロー図には、「開始/終了」「処理」「判断」「データ」といった役割を持つ標準的な記号が存在します。これらの基本記号を適切に使い分けながら、洗い出したタスクを配置し、矢印でつないで業務の流れを図として表現します。例えば、具体的な作業は長方形の「処理」記号で、条件によって流れが変わる箇所はひし形の「判断」記号で表現します。

この段階では、いきなり完璧な清書を目指す必要はありません。まずはホワイトボードや紙にラフに描いてみて、全体の流れが論理的に正しいか、タスクのつながりに不自然な点はないかを確認することに注力しましょう。見た目の美しさよりも、業務の実態が正確に、かつ分かりやすく表現されているかを重視してください。途中で間違いに気づいたら躊躇なく修正し、柔軟に形を変えていくことが大切です。

ステップ5:関係者とレビューして改善する

ワークフロー図は、一度作成したら終わりではありません。作成した図が本当に業務の実態を正確に反映しているか、第三者が見て理解できるかを検証する「レビュー」が不可欠です。業務の現場担当者や関連部署のメンバーに図を見てもらい、「この認識で合っていますか?」「ここが分かりにくい」「実際はこう動いています」といったフィードバックを積極的に求めましょう。

作成者だけでは気づかない業務の抜け漏れや、誤解を生む表現、非効率なプロセスなどが、レビューを通じて明らかになることは少なくありません。レビューで得られた意見を元に図を修正し、再びレビューを行うというサイクルを繰り返すことで、ワークフロー図の精度は飛躍的に向上します。このPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)の考え方を取り入れることで、ワークフロー図は生きた資料となり、継続的な業務改善の強力なツールとして機能するようになるのです。

ワークフロー図の基本記号とルール

ワークフロー図を誰が見ても理解できる、効果的なツールとして活用するためには、基本的な記号とその意味を正しく理解し、統一されたルールで使用することが非常に重要です。JIS規格などによって定められた標準的な記号を用いることで、作図者による解釈のブレを防ぎ、スムーズな情報共有と業務改善を促進できます。ここでは、ワークフロー図を作成する上で最低限知っておくべき主要な記号について、その形、名称、意味、そして具体的な使用例を交えながら詳しく解説します。

これらの基本記号を習得することは、単に図が描けるようになるだけでなく、既存のワークフロー図を正確に読み解き、問題点を発見する能力も養います。これから紹介する記号は、あらゆる業務プロセスを可視化する際の共通言語となるため、しっかりと押さえていきましょう。

開始と終了(端子)

ワークフロー図の最初と最後を明確に示すのが、「開始/終了」記号、または「端子」と呼ばれる記号です。この記号は角が丸い長方形で表現され、プロセスがどこから始まり、どこで完結するのかを一目で理解できるようにします。これにより、図を読む人は、業務の流れの起点と終点をすぐに把握できます。

通常、1つのワークフロー図には「開始」が1つ、そして「終了」は1つ以上存在し得ます。例えば、処理の結果によって複数の最終地点がある場合などです。記号の中には「開始」や「終了」といったテキストを記述し、その意味を明確にします。「業務開始」「プロセス終了」のように、具体的な言葉を書き込むことも一般的です。この端子記号を正しく配置することで、ワークフロー図の全体像がより鮮明になります。

処理・作業(プロセス)

ワークフロー図において、具体的な作業や処理内容を表す最も基本的な記号が「処理・作業」記号、または「プロセス」記号です。これは長方形で表現され、フローの中で最も頻繁に使用される記号と言えるでしょう。業務の流れの中で行われるあらゆるアクションを、この記号を使って表現します。

プロセス記号の中には、「〇〇を申請する」「△△を確認する」「顧客データを登録する」といった具体的なアクションを簡潔に記述します。動詞を含む形で記述することで、どのような作業が行われているのかが明確になります。例えば、「申請書作成」ではなく「申請書を作成する」と書くことで、よりアクションが伝わりやすくなります。この記号の適切な使用が、ワークフロー図の分かりやすさを大きく左右します。

判断・条件分岐

業務プロセスの中には、ある条件によってその後の流れが変わる場面が必ず存在します。このような意思決定のポイントを示すのが、「判断」記号、または「条件分岐」記号です。この記号はひし形で表現され、記号の中には「承認済みか?」「在庫があるか?」のように、「Yes/No」や「承認/却下」で答えられる問いを記述します。

判断記号からは、必ず2つ以上の矢印が出ることになります。それぞれの矢印の近くには、「Yes」「No」「承認」「却下」といった形で、どの条件に対応する流れであるかを明記します。これにより、どのような状況でプロセスが分岐し、それぞれがどこへ進むのかが明確に示されます。この記号を正しく使うことで、複雑な業務ロジックも視覚的に分かりやすく表現できます。

書類・データ

業務プロセスの中では、様々な情報がインプットとして利用されたり、アウトプットとして生成されたりします。これらの情報源や成果物を示すのが「書類・データ」記号です。紙の帳票や伝票を意味する場合には、下部が波線になった四角形の「書類」記号を、電子データやデータベースを意味する場合には、平行四辺形の「データ」記号を用います。

これらの記号は、プロセスの中でどのような情報が扱われているのかを明確にする役割を担います。記号の中には、「申請書」「見積データ」「顧客リスト」といった具体的な名称を記述することで、より図の理解度が高まります。例えば、「申請書を受け取る」というプロセスでは、プロセス記号の前に書類記号で「申請書」を配置し、矢印で結ぶことで、どの書類が使われているかを明確に示せます。

矢印(線・コネクタ)

ワークフロー図において、各記号間のつながりやプロセスの進行方向を示すのが「矢印」、または「線・コネクタ」です。矢印は業務の順序を視覚的に伝える最も重要な要素であり、これがなければ図としての意味をなしません。矢印の方向によって、次の作業が何であるかが明確になります。

ワークフロー図の流れは、原則として「上から下へ」「左から右へ」統一して描くのが一般的です。これにより、読み手は自然な視線の動きでプロセスを追うことができ、図の理解が促進されます。線が複雑に交差する場合には、どちらが主線であるかが分かるように「またぎ線」を用いるなどの工夫をすると良いでしょう。視覚的な混乱を避けるためにも、できるだけシンプルで直線的な矢印を心がけ、複雑な回り込みは避けることが重要です。

パワポから卒業!「伝わる」図にするための3つのコツ

ワークフロー図を単なる記録ではなく、業務改善に直結する強力なツールとして活用するには、基本的な書き方を押さえるだけでは不十分です。ここでは、PowerPointのような汎用ツールでの手作業では難しい、より高度な可視化と情報伝達を実現するための応用テクニックをご紹介します。これらのコツを取り入れることで、誰が見ても一瞬で理解できる「伝わる」図を作成し、組織全体の生産性向上や問題解決に貢献できるようになります。結果として、専用ツールへの移行を検討するきっかけにもなるでしょう。

コツ1:「スイムレーン」で担当部署・担当者を明確にする

「スイムレーン(Swimlane)」とは、水泳のレーンのように図を縦または横に分割し、各レーンに担当部署や担当者、役割などを割り当てることで、業務のプロセスと担当の関係性を一目でわかるようにする図法です。これにより、「誰が」「どの作業を」行っているのかが明確になり、業務の受け渡しや責任の所在が可視化されます。

特に複数の部署や役割が複雑に絡み合う業務プロセスにおいて、スイムレーンは絶大な効果を発揮します。例えば、「顧客からの問い合わせ」という一つの業務が、営業部、技術部、経理部をまたいで進む場合、それぞれの部署のレーンにタスクを配置し、矢印で結ぶことで、どこで業務が滞留しやすいか、誰に確認すれば良いのかが明確になります。これにより、業務のボトルネック発見や、部署間の連携ミスの削減に大きく貢献します。

スイムレーンを用いることで、業務の全体像と個々の担当が視覚的に結びつき、関係者全員が共通認識を持ちやすくなります。新人教育の際にも、自分の担当業務が全体のどの位置にあたるのか、前後工程の担当は誰なのかを瞬時に理解できるようになり、OJTの効率化にも繋がるでしょう。

コツ2:複雑なフローは階層化してシンプルに見せる

大規模な業務プロセスを1枚のワークフロー図に全て盛り込もうとすると、情報が過多になり、かえって分かりにくい図になってしまいます。このような場合は、「階層化」のテクニックを使い、図をシンプルに見せることが重要です。

階層化とは、まず業務全体の概要を捉えた「上位階層の図」を作成し、その中で特に複雑なプロセスや詳細を説明したい部分を、別の「下位階層の図」でブレイクダウンして記述する手法です。例えば、「商品開発プロセス」という上位の図の中に「市場調査」というプロセス記号があった場合、その「市場調査」の中身をさらに詳細に記した別のワークフロー図を作成するイメージです。

この方法により、図の閲覧者は最初に上位階層の図で全体像を把握し、必要に応じて詳細な下位階層の図を参照することで、段階的に理解を深めることができます。全体と詳細を行き来しながら情報を得られるため、情報過多による混乱を避けつつ、深い理解を促すことが可能です。これは、PowerPointのリンク機能や専用ツールの階層表示機能を使うことで、よりスムーズに実現できます。

コツ3:色や注釈を効果的に使い、視覚的な分かりやすさを高める

ワークフロー図の視認性を高め、より直感的に理解できるようにするためには、色や注釈を効果的に活用することが重要です。ただし、やみくもに色を多用したり、注釈をつけすぎたりすると、かえって分かりにくくなるため注意が必要です。

色を使う際は、必ずルールを定めて一貫して適用することが大切です。例えば、「システムによる自動処理は青色」「手作業のプロセスは黄色」「外部との連携プロセスは緑色」といったように、凡例を作成し、図全体で統一して使用します。これにより、閲覧者は凡例を見るだけで、そのプロセスの特性を瞬時に把握できるようになります。視覚的な情報は言語情報よりもはるかに早く処理されるため、理解のスピードを格段に向上させることができます。

また、図形や矢印だけでは伝えきれない補足情報や、特に注意すべきポイント、あるいは条件の詳細などは、「注釈」として書き加えます。これにより、図の見た目を複雑にすることなく、必要な情報を過不足なく提供できます。たとえば、特定の判断基準や、エラー発生時の対応、関係部署への依頼事項などを注釈として追記することで、ワークフロー図が単なるプロセスの流れを示すだけでなく、実務上の注意点やノウハウまでをも伝える強力な情報源となります。

パワポより便利!ワークフロー図作成ツール選びのポイント

PowerPointExcelでのワークフロー図作成に限界を感じ、「もっと効率的に、分かりやすい図を作りたい」と考えている方にとって、専用ツールの導入は大きな一歩となります。しかし、数多く存在するツールの中から自社に最適なものを選ぶのは容易ではありません。ここでは、ツールの導入を検討している方に向け、失敗しないための比較検討ポイントを具体的に解説します。単に機能の多さだけでなく、学習コストや運用コスト、そしてチームでの共同編集や承認プロセスをスムーズにするための着眼点に焦点を当ててご紹介します。

専用ツールを導入することで、作図時間の短縮はもちろん、ワークフロー図が常に最新の状態に保たれ、業務改善活動が加速します。また、誰が見ても理解できる標準化された図を作成できるようになり、業務の属人化解消や新人教育の効率化にも繋がります。これらのメリットを最大限に享受するためには、自社の運用体制や目的に合ったツール選びが非常に重要です。

テンプレートの豊富さと操作性

ワークフロー図作成ツールを選ぶ上でまず確認すべきは、テンプレートの豊富さと操作性の良さです。JIS準拠のフローチャート記号や、複雑な業務の流れを分かりやすく示すスイムレーン図など、目的に合ったテンプレートが豊富に用意されているツールを選ぶことで、一から図を作成する手間を大幅に削減できます。テンプレートを活用すれば、表記ルールに悩むことなく、誰でも統一された高品質な図を作成できるようになります。

また、ツールの操作性も重要なポイントです。直感的なドラッグ&ドロップで図形を配置できるか、図形を移動させた際に矢印が自動で追従してレイアウトが崩れないかなど、実際に試して確認することが大切です。多くのツールには無料トライアル期間が設けられているため、これを活用し、チームメンバーが無理なく使えるかどうかを評価することをおすすめします。操作性の良いツールは、作図時間の短縮だけでなく、作成者のストレス軽減にも繋がり、結果としてワークフロー図の継続的な更新と活用を促進します。

チームでの共同編集・共有機能

ワークフロー図は、作成して終わりではなく、業務の実態に合わせて継続的に更新していく必要があります。そのため、複数人でワークフロー図を運用する際には、共同編集・共有機能の有無が非常に重要になります。複数のメンバーが同時に1つの図を編集できるリアルタイム共同編集機能や、特定の箇所にコメントを残して修正依頼や確認ができる機能があれば、メールでのやり取りや口頭での確認といった手間が省け、スピーディーな情報共有が可能になります。

また、URLを共有するだけで関係者がワークフロー図を閲覧したり、コメントを書き込んだりできる機能は、部署間連携をスムーズにする上で非常に有効です。ファイルのダウンロードやアップロードが不要になるため、常に最新版の図を参照でき、誤った情報に基づいて業務が進むリスクを低減できます。さらに、変更履歴が自動で保存されるバージョン管理機能があれば、「どれが最新版か分からない」という課題も解消され、いつ誰がどのような変更を加えたかを容易に追跡できるようになります。

他のツールとの連携やエクスポート機能

作成したワークフロー図は、単独で存在するだけでなく、マニュアル作成や情報共有、システム開発など、様々な目的で活用されることが想定されます。そのため、他のツールとの連携や、多様な形式でエクスポートできる機能があるかどうかも重要な選定ポイントとなります。例えば、作成した図を画像ファイル(PNG, JPG)やPDF形式で簡単に出力できる機能があれば、資料作成の手間が省け、汎用性が高まります。

さらに、ConfluenceMicrosoft Teamsといった情報共有ツールに直接ワークフロー図を埋め込める連携機能があれば、情報の一元管理が可能になり、関係者は常に最新の図を参照できるようになります。これにより、別途資料を作成する手間が省けるだけでなく、コミュニケーションの効率化にも繋がります。業務改善のプロセスにおいて、作成したワークフロー図をいかに多目的に、スムーズに活用できるかという観点から、連携・エクスポート機能の充実度を確認することをおすすめします。

【無料プランあり】おすすめのワークフロー図作成ツール3選

PowerPointExcelでのワークフロー図作成に課題を感じている方に向けて、ここではワークフロー図作成に特化した便利なツールを3つご紹介します。選定のポイントは、これまでの解説で重要性をお伝えした「学習コスト」「運用コスト」「共同編集」「承認プロセス」のしやすさを踏まえています。どのツールも無料プランが用意されており、手軽に試せるものばかりですので、ご自身の状況や目的に合わせて、最適なツールを見つけるヒントとしてご活用ください。

Lucidchart:共同編集に強く、テンプレートが豊富

Lucidchartは、ビジュアルコラボレーションを強力に支援するオンライン作図ツールです。特に、リアルタイムでの共同編集機能とコメント機能が充実しており、複数人でのワークフロー図作成やレビューをスムーズに進められます。チームメンバーが同時に同じ図を編集できるため、メールでのやり取りやファイルの添付といった手間がなく、迅速な意思決定をサポートします。

豊富なテンプレートライブラリもLucidchartの大きな特長です。JIS準拠のフローチャート記号はもちろん、スイムレーン図やUML図など、様々な用途に対応したテンプレートが用意されています。また、図形をドラッグ&ドロップで配置するだけで自動的に矢印が繋がり、レイアウトも自動で整うなど、直感的な操作性も魅力です。これにより、作図にかかる時間を大幅に削減し、本来の目的である業務改善の検討に集中できます。SalesforceMicrosoft Office 365Google Workspaceなど、多くのビジネスツールとの連携も可能で、すでに利用している環境にシームレスに組み込めるため、チームでの業務改善を推進したいリーダー層に特におすすめのツールと言えるでしょう。

draw.io (diagrams.net):完全無料でシンプルに使える

draw.io(現在のdiagrams.net)は、Webブラウザ上で動作する完全無料の作図ツールです。その最大の魅力は、追加費用なしで非常に高機能なワークフロー図を作成できる点にあります。ソフトウェアのインストールが不要なため、インターネット環境さえあれば、どこからでもすぐに利用を開始できる手軽さも大きなメリットです。

Google DriveOneDriveDropboxといった主要なクラウドストレージと連携し、作成した図を直接保存・管理できます。これにより、ファイルの紛失やバージョン管理の煩雑さから解放されます。シンプルなインターフェースながら、プロフェッショナルな図が作成できる豊富な図形ライブラリも備えており、個人での利用はもちろんのこと、「まずはコストをかけずに専用ツールの使い心地を試してみたい」という方には最適な選択肢です。

Miro:アイデア出しから図の作成までを一元化

Miroは、オンラインホワイトボードツールとしての機能が非常に充実しており、ワークフロー図作成にとどまらない幅広い用途で活用できます。最大の特長は、アイデア出しからワークフロー図の作成までを、1つのボード上でシームレスに行える点です。付箋機能を使ってブレインストーミングを行い、そこから直接、図形を配置してワークフロー図へと落とし込むことができます。

非常に自由度が高く、テキスト、画像、動画、ドキュメントなど、様々な情報をボード上に集約できるため、プロジェクトの初期段階でのディスカッションや、チームでの情報共有を活発にしたい場合に特に威力を発揮します。図の作成だけでなく、その背景にある議論のプロセスや関連資料もまとめて管理できるため、後から振り返った際にも、なぜそのワークフローになったのかが明確に理解できます。発想や議論を重視し、チーム全体のコラボレーションを促進したいと考える方におすすめのツールです。

作った図を「改善」に繋げるための活用法

ワークフロー図は、作成して終わりではありません。むしろ、そこからが業務改善のスタート地点です。ここでは、せっかく可視化した業務プロセスを、具体的な改善活動へと結びつけるための活用法について解説します。ワークフロー図を単なる資料としてではなく、業務をより良くしていくための強力な「武器」として最大限に活用していきましょう。

ボトルネックを発見し、改善の仮説を立てる

作成したワークフロー図を詳細に分析することで、業務プロセス内に潜む問題点や非効率な部分を発見できます。特に注目すべきは、「ボトルネック」「重複作業」「無駄な作業」といった典型的な改善ポイントです。

ボトルネックとは、特定のプロセスに作業や承認が集中し、全体の流れを滞らせている箇所を指します。図上で、特定の担当者や部署にタスクが集中している箇所や、不自然に承認待ちの時間が長い箇所があれば、それがボトルネックである可能性が高いです。例えば、「Aさんの承認待ちで常にプロセスが停滞する」といった状況がこれに該当します。また、同じような確認作業が複数回発生している場合は重複作業であり、本来不要な作業に時間が割かれている場合は無駄な作業として特定できます。

これらの問題点を発見したら、「この承認プロセスは本当に必要なのか、省略できないか?」「このデータ入力はシステム連携で自動化できないか?」「この重複確認は一元化できないか?」といった具体的な改善の仮説を立ててみましょう。ワークフロー図を見ながら、業務の流れをよりスムーズにするためのアイデアを練ることが重要です。

改善後の効果を数値で示し、関係者の合意を得る

改善の仮説を立てたら、次にその改善案を実行に移すための関係者の合意形成が必要です。特に上司や経営層に対して改善の重要性や効果を説明する際には、定性的な説明だけでなく、具体的な数値を提示することが説得力を高める鍵となります。

まず、改善後の新しいワークフロー図(To-Beモデル)を作成し、現状のワークフロー図(As-Isモデル)と比較できるよう準備しましょう。To-Beモデルでは、改善案を適用した後のプロセスの流れを具体的に示し、どこがどのように変化するかを明確にします。例えば、「承認プロセスを1段階減らすことで、このタスクの完了までの時間が〇時間短縮できる」「システム連携により手入力が不要になり、ミスが〇%削減できる」といった具体的な数値を試算し、提示します。

このとき、改善によって得られる効果を「作業時間の短縮」「コスト削減」「ミスの減少」「顧客満足度の向上」といった具体的な指標で示すことが重要です。成果を可視化したい、承認を得たいと考える方にとって、数値で効果を示すことは、提案の実現可能性とメリットを明確に伝え、関係者からの理解と合意を得るための最も有効な手段となります。

まとめ

この記事では、PowerPointExcelでのワークフロー図作成が抱える課題から始まり、誰が見ても分かりやすい図を作成するための基本的な5ステップ、押さえておくべき基本記号とルール、そして「伝わる」図にするための応用テクニックまで、ワークフロー図作成の全容を解説しました。さらに、専用ツールを選ぶ際のポイントと具体的なツール例、そして作成した図を業務改善に繋げるための活用法までご紹介しました。

分かりやすいワークフロー図は、単なる見た目の美しさだけでなく、業務の可視化と標準化、問題点の発見、関係者間の認識共有を促進するための強力な「武器」となります。属人化の解消、テレワークでの連携強化、DX推進といった現代のビジネス課題に対応するためには、現状の業務プロセスを正確に捉え、改善サイクルを高速に回すことが不可欠です。そのためにも、常に最新の状態を保ち、誰もが参照できるワークフロー図の存在が重要です。

まずは、今抱えている業務プロセスの中で、特に「ここを改善したい」と考えている部分を一つ選んで、簡単なワークフロー図を作成してみてはいかがでしょうか。今回ご紹介したステップやコツ、ツールを参考に、現状の業務を図に落とし込むことで、今まで気づかなかったボトルネックや無駄が明確になり、業務改善への具体的な第一歩を踏み出すことができるはずです。分かりやすいワークフロー図で、ぜひ業務改善を加速させてください。

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