COLUMN

ヘッダーイメージ

システム開発とソフトウェア開発の違いを比較。失敗しないベンダー選定のコツ

システム開発とソフトウェア開発の違いを比較。失敗しないベンダー選定のコツ

ベンダーとの打ち合わせで、「システム開発」と「ソフトウェア開発」という言葉が混在し、その発注範囲や見積もりの妥当性を判断することに悩まれるIT担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、この二つの開発が単なる用語の違いではなく、その目的、対象範囲、費用感、そして開発後の保守範囲に至るまで根本的に異なるアプローチであることを明確に解説します。

単なる言葉の定義に留まらず、自社の課題解決にはどちらの開発手法が最適なのかを判断する具体的な基準を提供します。さらに、過去のシステム導入プロジェクトにおける失敗経験を踏まえ、曖昧さを排除し、確実にプロジェクトを成功させるためのベンダー選定における実践的なコツまで網羅しています。

システム開発とソフトウェア開発、言葉の違いで混乱していませんか?

A社は『システム開発』と言い、B社は『ソフトウェア開発』と言うけれど、提案内容は似ているように見えて、どこがどう違うのか分からない」このような経験はありませんか?多くの場合、提示される見積書を見ても、具体的にどこまでの作業が含まれているのか不明確で、複数のベンダーを比較すること自体が難しいと感じるかもしれません。この言葉の定義の曖昧さは、プロジェクトの進行において、後々大きな問題を引き起こす原因となりがちです。

言葉の定義が曖昧なままだと、ベンダーとの間で要件認識にズレが生じ、結果として予期せぬ追加費用の発生や納期遅延を招くリスクが高まります。最悪の場合、プロジェクトそのものが失敗に終わり、かけたコストが無駄になるという事態も起こりえます。これは、担当者の評価だけでなく、企業のビジネス成長にも悪影響を及ぼしかねません。

本記事では、このような混乱を解消し、システム開発とソフトウェア開発の明確な違いを理解していただくことを目指します。それぞれの開発がどのような目的を持ち、どこまでを対象とするのか、具体的な違いを一つひとつ丁寧に解説することで、貴社が自信を持ってベンダーと交渉を進め、最適な選択をするための羅針盤となるでしょう。

まずは基本から解説!「システム」と「ソフトウェア」の定義

システム開発とソフトウェア開発という言葉が混同されがちなのは、それぞれが指す範囲や役割が曖昧になりやすいためです。しかし、これらの違いを明確に理解することは、自社の課題解決に最適なIT投資を行う上で非常に重要になります。ここでは、まず「システム」と「ソフトウェア」それぞれの基本的な定義を解説し、両者の違いを理解するための土台を築きます。この基本をしっかりと押さえることで、ベンダーとの会話がスムーズになり、後述する具体的な違いや選定のポイントがより深く理解できるようになります。

システムとは?目的達成のための「仕組み全体」

「システム」とは、特定の目的を達成するために、複数の要素が有機的に連携し合う「仕組み全体」を指す、非常に広範な概念です。これは単にコンピュータのプログラムだけを意味するものではありません。システムの構成要素には、ソフトウェアはもちろんのこと、PC、サーバー、スマートフォンといったハードウェア、これらを繋ぐネットワーク、データを保存・管理するデータベース、さらには情報を扱う業務フローやルール、そしてそれらを利用・操作する「人」までが含まれます。

たとえば「企業の販売管理システム」を考えてみましょう。このシステムは、顧客からの受注を処理するソフトウェア、そのソフトウェアが動作する担当者のPC、処理されたデータを保管するサーバー、社内全体を繋ぐLANといったITインフラだけでなく、受注から商品発送、請求書発行、入金確認までの一連の業務プロセス、そしてこれらの作業を行う従業員や承認権限者といった「人」の動きも含めて、販売活動全体を円滑に進めるための「仕組み」として機能します。

このように、システムは特定の課題解決や目標達成のために、様々な要素が結びついて協調動作する複合体であると言えます。そのため、システム開発を考える際には、単にプログラムを作るだけでなく、関連するハードウェアやネットワーク、そして業務プロセス全体の最適化まで視野に入れる必要があるのです。

ソフトウェアとは?システムの一部として動く「プログラム」

一方、「ソフトウェア」とは、前述した「システム」という大きな仕組みを構成する一部分であり、コンピュータなどのハードウェアに対して具体的な指示や命令を与える「プログラム」そのものを指します。ソフトウェアは、ハードウェアの上で動作し、特定の機能やタスクを実行するためのものです。例えるなら、自動車(システム全体)におけるエンジンやカーナビのプログラム(ソフトウェア)のような関係性です。

先ほどの「販売管理システム」の例で言えば、そのシステムを構成する要素の中で、「顧客情報を入力するアプリケーション」「在庫状況を照会するプログラム」「請求書を自動で発行する機能」などがソフトウェアに該当します。これらはそれぞれが特定の役割を持ち、販売管理という大きな目的達成のために連携して動作します。

私たちの身近な例で考えてみると、スマートフォン(ハードウェア)はそれ単体ではただの箱ですが、その上で動作するLINEアプリ(ソフトウェア)やGoogleマップ(ソフトウェア)があることで、初めてコミュニケーションや経路検索といった具体的な機能を利用できるようになります。このように、ソフトウェアはハードウェアを動かし、具体的な機能やサービスを提供する役割を担っているのです。

 

【一覧比較】システム開発とソフトウェア開発の5つの違い

ここからは、システム開発とソフトウェア開発の具体的な違いについて掘り下げていきましょう。単なる言葉の定義だけでなく、発注する側が実際に直面する「目的と対象範囲」「開発プロセスと手法」「関わる職種とスキル」「開発期間と費用感」「保守・運用の範囲」という5つの観点から、両者の特性を多角的に比較していきます。

まずは以下の比較表で全体像を把握し、その後に各項目について詳しく解説していきますので、ぜひ貴社のプロジェクトに照らし合わせてご確認ください。

違い:目的と対象範囲

システム開発とソフトウェア開発では、そもそも解決しようとする目的と、それに伴う対象範囲が大きく異なります。システム開発の目的は、企業全体の業務効率化、複数の部門にまたがる情報の一元管理、あるいは新しいビジネスモデルの創出など、経営課題の解決に直結する広範なものです。

そのため、対象範囲も非常に広くなります。単にプログラムを作るだけでなく、利用するハードウェアの選定、ネットワークの構築、既存の業務プロセスの見直しや再設計、データベースの設計、さらにはセキュリティ対策まで、企業のインフラ全体に関わる包括的なアプローチが求められます。

一方、ソフトウェア開発の目的は、特定のタスクの自動化、既存システムへの機能追加、あるいはユーザーの利便性を高めるアプリケーションの提供など、より具体的かつ限定的な課題解決が中心です。対象範囲は主にプログラムそのものの開発に限定されることが多く、インフラやハードウェアの調達といった広範な作業は含まれないケースが一般的です。

違い:開発プロセスと手法

開発を進める上でのプロセスや採用される手法にも、両者の特性が表れます。システム開発は、ハードウェアの調達やインフラ構築が伴うため、一度構築すると変更が難しく、後戻りが困難な特性を持っています。このため、プロジェクトの初期段階で全体の計画を厳密に立て、その計画通りに工程を一つずつ進めていく「ウォーターフォール開発」や、テストを重視した「Vモデル」といった計画重視の手法が採用される傾向にあります。

これに対し、ソフトウェア開発では、ユーザーのニーズや市場の変化に柔軟に対応することが求められる場面が多くあります。そのため、要件が固まりきっていない段階から開発に着手し、短い期間で開発とテストを繰り返しながら、ユーザーからのフィードバックを迅速に取り入れて改善を進める「アジャイル開発」や、その具体的手法である「スクラム」が主流となっています。仕様変更への対応のしやすさが、ソフトウェア開発においては特に重視されるポイントです。

違い:関わる職種と求められるスキル

プロジェクトを遂行する上で関わる職種や、それぞれの職種に求められるスキルも異なります。システム開発においては、プロジェクト全体を俯瞰し、計画から完了までを統括する「プロジェクトマネージャー」が不可欠です。また、システムの全体像を設計し、各構成要素が適切に連携するよう計画する「システムアーキテクト」も重要な役割を担います。

さらに、サーバーやネットワークといったインフラを担当する「ネットワークエンジニア」や「データベース管理者」、業務フローを設計する「業務コンサルタント」など、多岐にわたる専門家がチームを組みます。ここでは、個別の技術スキルだけでなく、異なる専門性を持つメンバー間の調整能力や、プロジェクト全体を管理する能力が特に重要視されます。

一方、ソフトウェア開発では、主にプログラミングを専門とするエンジニアが中心となります。ユーザーが直接触れる画面や操作性を開発する「フロントエンド開発者」や、サーバー側の処理やデータベースとの連携を担う「バックエンド開発者」などが代表的です。特定のプログラミング言語や開発フレームワークに関する深い知識、効率的なコードを書くスキルが求められることが特徴です。

違い:開発期間と費用感

発注担当者が最も気になる点の一つである開発期間と費用感にも、明確な違いがあります。システム開発は、関わる人材が多く、ハードウェアの調達費用、各種ソフトウェアのライセンス費用、さらにはインフラ構築費用なども含まれるため、プロジェクトの規模が非常に大きくなる傾向があります。

そのため、開発期間は半年から数年、費用は数百万から数億円と高額になることが一般的です。これは、システムが企業の根幹に関わる大規模な仕組みであるため、綿密な計画と長期的な視点での投資が必要となるためです。

対してソフトウェア開発は、開発対象が特定のプログラムや機能に限定されるため、システム開発と比較すると短期間で完了するケースが多く見られます。開発期間は数週間から数ヶ月、費用も数十万から数百万円程度で実現できる場合が多いです。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、開発するソフトウェアの機能の複雑性や、連携する既存システムの数、求める品質レベルによっては、期間も費用も大きく変動する可能性がある点には注意が必要です。

違い:開発後の保守・運用の範囲

開発が完了した後の保守・運用の範囲も、両者で大きく異なります。システム開発の場合、保守・運用にはソフトウェアのバグ修正や機能改善、アップデートはもちろんのこと、サーバーやネットワーク機器の定期メンテナンスや障害発生時の対応、データのバックアップ、セキュリティ監視、さらにはOSやミドルウェアのバージョンアップなど、ITインフラ全体にわたる広範な対応が含まれます。システム全体が企業の重要な業務を支えているため、24時間365日の監視体制や迅速な復旧が求められることも珍しくありません。

一方で、ソフトウェア開発における保守・運用は、主にプログラム自体の不具合修正、OSやブラウザのバージョンアップによる動作環境への対応、そして軽微な機能改善などが中心となります。インフラの管理は、既存のシステム管理部門や別途契約している保守ベンダーが担当することが多く、ソフトウェア開発ベンダーの責任範囲は限定的です。

発注する際には、開発後の保守契約がどこまでの範囲をカバーしているのかを明確にし、「言った、言わない」のトラブルを避けるためにも、必ず書面で確認することが非常に重要です。

あなたの会社はどっち?目的別の選び方と具体例

ここまでシステム開発とソフトウェア開発の違いを詳しく見てきましたが、いざ自社の課題に直面したとき、「結局、どちらを選べば良いのだろう?」と迷う方もいらっしゃるかもしれません。このセクションでは、皆さまが抱える課題を解決するために、どちらの開発アプローチが最適なのかを判断するための具体的なガイドを提供します。解決したい課題は何か、その影響範囲はどこまで広がるのか、といった問いを投げかけながら、皆さまの思考を整理するお手伝いをします。

単なる知識の提供に留まらず、皆さまが自信を持ってベンダーに発注し、プロジェクトを成功に導くための実践的な判断基準をお伝えします。この後ご紹介する具体的なケースを通じて、ご自身の会社の状況に当てはめて考えてみてください。

システム開発を選ぶべきケース

システム開発は、単一のプログラムではなく、ハードウェアやネットワーク、データベース、そして業務プロセス全体を統合して、より大きな目的を達成したい場合に選択すべきアプローチです。以下のようなケースでは、システム開発を検討することをおすすめします。

  • 全社の基幹システム(販売、会計、人事など)を刷新する理由:単に会計ソフトを導入するのではなく、販売管理から会計処理、人事給与まで、複数の部門にまたがる業務プロセス全体とITインフラ全体に影響するため、総合的な視点での設計と構築が必要です。
  • 工場全体の生産性を上げるため、IoT機器と連携した生産管理の仕組みを導入する理由:製造ラインのセンサーや機械といったハードウェア、それらをつなぐネットワーク、データを収集・分析するソフトウェア、そして生産計画から実績管理までの業務フロー全てを統合した「仕組み」が必要となるためです。
  • 複数の拠点に散らばる顧客情報を一元管理し、営業部門とサポート部門で共有したい理由:既存のデータが散在している状況から、新しいデータベースの設計、各拠点からのアクセスを考慮したネットワーク構築、そしてそれらを利用するCRM(顧客関係管理)ソフトウェアの開発など、広範な要素を考慮し、統合的な仕組みとして再構築する必要があるためです。

これらのケースでは、特定の機能を持ったソフトウェアだけを導入しても、根本的な課題解決にはつながりません。業務全体の流れや組織体制まで含めて見直し、最適な「仕組み」を構築することが求められます。

ソフトウェア開発を選ぶべきケース

ソフトウェア開発は、特定の課題を解決するための機能やツールを、比較的限定された範囲で構築したい場合に適しています。既存の環境に新たな機能を追加したい場合や、特定の業務プロセスを自動化したい場合などが該当します。以下のようなケースでは、ソフトウェア開発を検討すると良いでしょう。

  • 経理部で使っているExcelでの請求書管理を自動化するツールが欲しい理由:既存のPC環境やファイル形式を活かしつつ、入力作業の自動化やチェック機能の追加など、特定の業務を効率化する単体プログラム(アプリケーション)の開発で対応可能なためです。
  • 既存の販売管理システムに、スマートフォンで在庫を確認できる機能を追加したい理由:既に存在するシステムやインフラ(サーバー、データベースなど)はそのまま利用し、その上に乗せる形で、スマートフォンから利用できる特定の機能(在庫照会アプリ)だけを開発すれば良いためです。
  • 顧客向けのシンプルな予約受付Webサイトを構築したい理由:目的が「予約の受付」と明確で、必要な機能(予約カレンダー、顧客情報入力、予約確認メール送信など)が限定されているため、大規模なシステム構築ではなく、Webアプリケーションとしてのソフトウェア開発で実現できます。

これらのケースでは、新しいハードウェアの導入や大規模なインフラ構築は不要で、特定の機能要件に絞って開発を進めることができます。そのため、システム開発に比べて短期間かつ比較的低コストで実現できる可能性が高いでしょう。

失敗しないベンダー選定の3つのコツ

これまでシステム開発とソフトウェア開発の違いについて詳しく見てきましたが、最終的にプロジェクトを成功させるためには、この違いを理解した上で「どのベンダーと組むか」が非常に重要になります。過去に外部委託で「こんなはずではなかった」という失敗経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。技術的な側面を理解するだけでは十分ではなく、本当に信頼できるパートナーを見つけることがプロジェクト成功の鍵を握ります。

このセクションでは、発注後の認識のズレや予期せぬトラブルを防ぎ、確実にプロジェクトを成功に導くための、具体的で実践的なベンダー選定のコツを3つご紹介します。これらのコツを参考に、自信を持ってベンダーとの交渉を進めていきましょう。

コツ:開発の目的と要件を明確に伝える

ベンダー選定において最も大切なことの一つは、発注者側が「何を作りたいか(What)」だけでなく、「なぜそれを作るのか(Why)」、そして「それによって現状のどんな課題を、どのように解決したいのか(As-is/To-be)」という、開発の目的や背景を明確にベンダーに伝えることです。

RFP(提案依頼書)を作成する際は、解決したいビジネス課題、必要な機能、予算、納期といった具体的な要件を事前に整理し、言語化しておくようにしましょう。これにより、ベンダーからの提案の精度が高まり、お互いの認識のズレを防ぐことができます。要件定義の段階でベンダーに全てを任せるのではなく、発注者として主体的にプロジェクトに関わる姿勢が、成功への第一歩となります。

コツ:見積もりの内訳と前提条件を精査する

ベンダーから提示された見積書は、その総額だけを見るのではなく、内訳や前提条件を細かく確認することが非常に重要です。例えば、「要件定義」「設計」「開発」「テスト」といった各工程の人月単価や工数、そして「作業範囲(スコープ)」がどこまで含まれているのかを詳細にチェックしてください。

特に注意すべきは、「〇〇に関する作業は含まない」や「〇〇のデータは貴社にてご用意ください」といった前提条件や除外事項です。これらは後々の追加費用やトラブルの原因となりやすいため、疑問点は徹底的に質問し、クリアにしておく必要があります。複数のベンダーから相見積もりを取る際には、各社の前提条件を揃えることで、より公平に比較検討できるようになります。

コツ:実績だけでなくコミュニケーション体制も確認する

ベンダーを選定する際、類似案件の実績や技術力はもちろん重要ですが、プロジェクトを円滑に進めるためには「コミュニケーション体制」も同じくらい大切です。例えば、定例会の頻度や報告フォーマット、メイン担当者とエスカレーション先は誰なのか、質問や相談に対するレスポンスの速度などを事前に確認するようにしましょう。

さらに、専門用語を分かりやすく説明してくれるか、こちらの要望を丁寧にヒアリングしてくれるかといった、担当者との相性や誠実さも重要な判断基準です。予期せぬ問題が発生した際にも、良好なコミュニケーションが取れるベンダーであれば、迅速かつ適切に解決に向けて協力してくれるでしょう。信頼できるパートナーを選ぶことが、プロジェクトの成功に直結します。

参考情報「システム・ソフトウェア開発の主な流れと開発手法」

このセクションでは、システム開発やソフトウェア開発を外部に委託する際に、担当者の方が知っておくとベンダーとのコミュニケーションがよりスムーズになる、基本的な「開発の流れ」と「代表的な開発手法」について概要を解説します。ここでは、それぞれの詳細な技術的な部分に深く踏み込むのではなく、各工程や手法がどのようなもので、なぜその知識が役立つのかというポイントに絞ってご説明していきます。

開発の一般的な流れ(企画から運用・保守まで)

システムやソフトウェアの開発プロジェクトは、一般的に「システム開発ライフサイクル(SDLC)」と呼ばれる一連の流れに沿って進められます。この流れを把握することで、プロジェクトが今どの段階にあり、次に何が行われるのかをベンダーとの会話の中から理解できるようになります。

具体的な流れとしては、まず「企画」フェーズで、どのようなシステムやソフトウェアが必要か、その目的や目標を明確にします。次に「要件定義」フェーズでは、システムに求める機能や性能、操作性などを具体的に文書化します。この要件定義は、発注者とベンダーの間の認識のずれを防ぐ上で最も重要な工程の一つですので、積極的に関わることが成功の鍵となります。

その後、「設計(基本設計・詳細設計)」でシステムの全体構造や機能の具体的な動きを決定し、「開発(プログラミング)」で実際にプログラムを実装していきます。開発されたものは「テスト」フェーズで不具合がないか、要件通りに動作するかを徹底的に検証します。特に、発注者側が最終的にシステムを受け入れる「受入テスト」は、品質を保証するための重要な工程です。そして、完成したシステムを本番環境に「導入(リリース)」し、稼働後は「運用・保守」フェーズで安定稼働を維持し、必要に応じて改修や機能追加を行っていきます。

代表的な開発手法(ウォーターフォール開発・アジャイル開発)

システムやソフトウェアの開発には、いくつかの代表的な手法があります。特に「ウォーターフォール開発」と「アジャイル開発」は、そのアプローチが大きく異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

ウォーターフォール開発は、滝の水が上流から下流へ一方向に流れるように、企画、要件定義、設計、開発、テストといった各工程を順序立てて進める手法です。一度前の工程に戻ることは基本的にせず、各工程の完了をもって次の工程へ進むため、最初に全体の計画を厳密に立てることが特徴です。この手法は、大規模なシステム開発や、要件が明確で変更が少ないプロジェクトに適しており、プロジェクト全体の進捗管理がしやすいというメリットがあります。

一方、アジャイル開発は、「俊敏な」「素早い」といった意味を持つ「アジャイル」の名の通り、短いサイクルで「計画設計開発テスト」を繰り返しながら、システムやソフトウェアを段階的に作り上げていく手法です。ユーザーからのフィードバックを迅速に取り入れながら、仕様変更にも柔軟に対応できるため、要件が変わりやすいWebサービスやスマートフォンアプリなどのソフトウェア開発で広く採用されています。ベンダーがどちらの手法を提案しているかによって、開発の進め方やコミュニケーションの取り方が大きく変わるため、事前に確認し、自社のニーズに合った手法が選択されているかを見極めることが成功につながります。

まとめ

本記事では、これまで「システム開発」と「ソフトウェア開発」という言葉の混同で悩まされていた担当者の方に向けて、それぞれの本質的な違いを深く掘り下げて解説してきました。

この2つの言葉は単なる表現の差ではなく、特定の目的を達成するための「仕組み全体」を指すシステムと、そのシステムの一部として機能する「プログラム」を指すソフトウェアという、根本的に異なる概念です。目的、対象範囲、開発プロセス、関わる職種、期間と費用、そして開発後の保守・運用の範囲に至るまで、それぞれのアプローチに大きな違いがあることをご理解いただけたことと思います。

これらの「5つの違い」と「目的別の選び方」を理解することで、貴社が抱える課題解決のために、どちらの開発手法が最適なのかを自信を持って判断できるようになるでしょう。そして、プロジェクトを確実に成功させるためには、「開発の目的と要件を明確に伝える」「見積もりの内訳と前提条件を精査する」「実績だけでなくコミュニケーション体制も確認する」というベンダー選定の3つのコツを実践し、発注者として主体的にプロジェクトに関わっていくことが不可欠です。本記事が、貴社のITプロジェクトを成功に導くための一助となれば幸いです。

人気記事

  1. システム開発に疲れた人が知るべき対処法

    システム開発に疲れた人が知るべき対処法

  2. システム開発の失敗要因

    システム開発の失敗要因

  3. システム開発におけるビジネスモデルの作り方

    システム開発におけるビジネスモデルの作り方

  4. DXとITの違い

    DXとITの違い

  5. 大規模システム開発に成功するために必要な知識を網羅

    大規模システム開発に成功するために必要な知識を網羅

CONTACT

システム開発・ソフトウエア開発の
お悩み事・IT/DXご検討の際には
お気軽にご相談ください。

PAGE TOP